MLB(メジャーリーグベースボール)のポストシーズンにおける「シード」とは、プレーオフ進出を決めた球団の組み合わせや対戦順、本拠地開催権を決めるための順位番号です[1]。ア・リーグ(アメリカン・リーグ)とナ・リーグ(ナショナル・リーグ)でそれぞれ6球団ずつ、計12球団に第1〜第6シードが割り当てられます[1]。
MLBのシードとは?
MLBのポストシーズンでは、レギュラーシーズン(年間162試合)の成績に基づいて、両リーグそれぞれ6チーム(全30球団中12チーム)がプレーオフ進出権を獲得します[1]。この12チームに対して与えられる順位番号が「シード(Seed)」です[1]。
ア・リーグとナ・リーグは独立してシード順位(第1シード〜第6シード)を決定します[1]。そのため、両リーグのシード番号が混同されることはありません[1]。
シード順位によって「どのラウンドから登場するか」「どのチームと対戦するか」「どちらの球団の本拠地で試合を行うか」がすべて決まります[1][4]。全体の流れやワールドシリーズ進出条件については【2026年最新】メジャーリーグ(MLB)ポストシーズンの仕組み|ワールドシリーズ進出条件を解説でも詳しくまとめていますが、本記事ではシードの割り当てルールと対戦カードの関係に絞って詳しく見ていきます。
第1〜第6シードの決まり方
MLBのシード順位は、単に勝率が高い順に1位から6位まで並べられるわけではありません。まず「地区優勝を果たしたか」「ワイルドカードでの進出か」という条件で大きく2つの区分に分かれます[1]。
地区優勝3球団(第1〜第3シード)
各リーグには東地区・中地区・西地区の3つの地区が存在します[1][3]。各地区で最高勝率を記録して地区優勝を果たした3球団には、勝率順に第1シード、第2シード、第3シードが割り当てられます[1]。
ワイルドカード3球団(第4〜第6シード)
地区優勝を逃した球団の中で、リーグ内の勝率上位3球団が「ワイルドカード」としてポストシーズンへ進出します[1]。ワイルドカードの3球団には、勝率順に第4シード、第5シード、第6シードが割り当てられます[1]。
- 第4シード:ワイルドカード進出球団の中で最も勝率が高い球団(ワイルドカード1位)[1]
- 第5シード:ワイルドカード進出球団の中で2番目に勝率が高い球団(ワイルドカード2位)[1]
- 第6シード:ワイルドカード進出球団の中で3番目に勝率が高い球団(ワイルドカード3位)[1]
シード一覧表(区分・免除・対戦ラウンド)
シード番号ごとの立ち位置とスタート地点を整理した一覧表が以下の通りです。
| シード | 進出区分 | 最初の出場ラウンド | ワイルドカードシリーズでのホーム開催権 |
|---|---|---|---|
| 第1シード | 地区優勝(勝率1位) | ディビジョンシリーズ(第2ラウンド) | 不参加(不戦勝・初戦免除)[1] |
| 第2シード | 地区優勝(勝率2位) | ディビジョンシリーズ(第2ラウンド) | 不参加(不戦勝・初戦免除)[1] |
| 第3シード | 地区優勝(勝率3位) | ワイルドカードシリーズ(第1ラウンド) | あり(全3戦を自軍本拠地で開催)[1] |
| 第4シード | ワイルドカード1位 | ワイルドカードシリーズ(第1ラウンド) | あり(全3戦を自軍本拠地で開催)[1] |
| 第5シード | ワイルドカード2位 | ワイルドカードシリーズ(第1ラウンド) | なし(敵地開催)[1] |
| 第6シード | ワイルドカード3位 | ワイルドカードシリーズ(第1ラウンド) | なし(敵地開催)[1] |
MLBポストシーズンの対戦カード
シード番号が決定すると、ポストシーズンのトーナメント表(ブラケット)が完成します。MLBではトーナメントの組み合わせが固定されており、途中で勝率順に相手を組み替える「再シード(Reseeding)」は行われません[1][2]。
ワイルドカードシリーズ(WCS)の組み合わせ
第1ラウンドとなるワイルドカードシリーズは、3戦2勝制で実施されます[1]。第1・第2シードは免除されるため、以下の2カードで戦います[1]。
どちらのカードも、上位シード(第3・第4シード)のホームスタジアムで3試合すべてが行われます[1]。
ディビジョンシリーズ(DS)の進出先
ワイルドカードシリーズを勝ち上がった2チームは、5戦3勝制のディビジョンシリーズ(地区シリーズ)で第1シード・第2シードと対戦します[1][4][2]。
ここで重要なのは「再シードを行わない」という原則です[2]。仮に第6シードが第3シードを破って勝ち上がってきた場合でも、第6シードが自動的に「最も強い第1シード」と当たるように組み替えられることはありません。あくまで規定通りの山(ブラケット)を進みます[2]。
地区優勝球団より勝率が高くても第4シード?
MLBのシード制度で最も特徴的なのは、「勝率だけではなく、地区優勝が最優先される」という点です[1]。
例えば、ある年のレギュラーシーズンで、激戦区の地区で2位になった球団Aが「100勝62敗(勝率.617)」という優秀な成績を収めたとします。一方で、別の地区で優勝した球団Bが「88勝74敗(勝率.543)」だったとしましょう。
通常の感覚であれば勝率の高い球団Aが上位シードになりそうですが、MLBのルールでは地区優勝を果たした球団Bが第1〜第3シードのいずれかを獲得します[1]。勝率で大きく上回る球団Aは、ワイルドカード1位として「第4シード」にしかなりません[1]。
なぜ地区優勝が優遇されるのか?
MLBでは162試合という長丁場のレギュラーシーズンにおいて、「自地区のライバルと勝ち抜いて首位に立つこと」を最大の功績として重んじているからです。地区優勝の価値を高めることで、レギュラーシーズン終盤まで緊迫した地区優勝争いを演出する狙いもあります。
そのため、順位表を見る際は単に勝率順で並べるのではなく、「どのチームが地区首位に立っているか」「どのチームがワイルドカード枠なのか」を確認することが重要です[1]。
第1・第2シードが有利といわれる理由
ポストシーズンで第1シードまたは第2シードを獲得することには、他シードと比べて絶大なアドバンテージが存在します[1]。
1. ワイルドカードシリーズ免除(初戦免除)
最大のメリットは、第1ラウンドであるワイルドカードシリーズ(3戦2勝制)を不戦勝でスキップできる点です[1]。短期決戦のプレッシャーや敗退リスクを回避できるだけでなく、ディビジョンシリーズ開幕までの数日間で以下の準備ができます[1]。
- エース投手や主力投手を中6日以上の十分な登板間隔で先発させられる
- レギュラーシーズンの戦いによる野手の疲労や故障をケアできる
- スカウティングスタッフがワイルドカードシリーズをじっくり分析できる
2. ディビジョンシリーズでのホームフィールド・アドバンテージ
ディビジョンシリーズ(5戦3勝制)では、第1・2・5戦を第1・第2シードの本拠地で開催できます[4]。本拠地の大歓声を背にして初戦と第2戦を戦えることは、精神的にも非常に大きな有利さをもたらします[4]。
第3・第4シードと第5・第6シードの格差
ワイルドカードシリーズを戦う4球団の間でも、第3・第4シードと第5・第6シードでは環境が大きく異なります[1]。
- 第3・第4シード:ワイルドカードシリーズの最大3試合をすべて自軍の本拠地で開催できる(ホームアドバンテージ)[1]。
- 第5・第6シード:ワイルドカードシリーズの全試合が敵地(ビジター)開催となり、移動の負担やアウェイのプレッシャーを背負う[1]。
ただし、短期決戦では勢いに乗った第5・第6シードが上位シードを撃破する「ジャイアントキリング(波乱)」も度々発生するため、一概に下位シードが不利とも言い切れません。
同率の場合はどうやってシードを決める?
162試合のレギュラーシーズンが終了した時点で、2つ以上の球団が全く同じ勝率で並ぶケースがあります。2022年のルール改定以降、163試合目の追加決定戦(Game 163)は廃止されました[3]。
現在は、試合を行わずに「タイブレーカー(順位決定規定)」を適用して厳格にシード順位を決定します[3]。
タイブレーカー優先順位(2球団が同率の場合)
勝率が同率で並んだ場合、以下の順番で比較して優位な球団を決定します[3]。
- 直接対決(Head-to-Head)の勝ち越し成績:今季のレギュラーシーズンにおける両球団の対戦成績で勝ち越している方が上位[3]。
- 同地区内での通算勝率:直接対決が五分の場合は、所属地区内での勝率が高い方が上位。
- 同リーグ内での通算勝率:地区内勝率も同点の場合は、ア・リーグまたはナ・リーグ全体での通算勝率が高い方が上位。
このように、直接対決の1勝1敗がシーズン最終盤のシード争いに直結するため、シーズン中のカード勝ち越しが非常に重要となります[3]。
なお、3球団以上が同一勝率で並んだ場合のタイブレーカー規定は、3チーム間での相互対戦成績などを組み合わせたさらに複雑な計算式が適用されるため、最新の状況はMLB公式の案内を確認することをおすすめします[3]。
ワールドシリーズの本拠地はシードで決まる?
よくある疑問として「ワールドシリーズ(WS)の本拠地開催権(ホームフィールド・アドバンテージ)も、第1シード同士ならア・リーグかナ・リーグのシード番号で決まるのか?」という点があります。
結論として、ワールドシリーズの本拠地開催権は「シード順位」ではなく、「レギュラーシーズンの通算勝率」で決定します[4]。
リーグ戦とワールドシリーズの基準の違い
- リーグ内(WCS, DS, LCS):原則としてシード順位が上位の球団にホームアドバンテージが与えられます(LCSでワイルドカード同士の場合は勝率順)[4]。
- ワールドシリーズ(WS):ア・リーグ代表とナ・リーグ代表のうち、レギュラーシーズン162試合で通算勝率が高かった球団の本拠地で第1・2・6・7戦を開催します[4]。
例えば、ア・リーグ第1シード(100勝62敗)とナ・リーグ第1シード(102勝60敗)がワールドシリーズで対戦する場合、通算勝率で上回るナ・リーグ第1シードの球団にホーム開催権が与えられます[4]。シード番号が同じであっても、勝ち取った年間勝利数が直接影響します[4]。
まとめ:シードを理解するとMLBポストシーズンが分かりやすい
MLBポストシーズンのシード制度は、レギュラーシーズンの成果を適正に評価し、短期決戦のスリルを高めるために細かく設計されています。
- ア・リーグとナ・リーグでそれぞれ第1〜第6シード(計12球団)を決定する[1]
- 第1〜第3シードは地区優勝球団の勝率順、第4〜第6シードはワイルドカード球団の勝率順[1]
- 第1・第2シードはワイルドカードシリーズが免除(初戦免除)され、ディビジョンシリーズから登場[1]
- トーナメントの再シードは行われず、枠組みに従って進行する[2]
- 同率の場合は追加試合(Game 163)を行わず、直接対決などのタイブレーカーで決定する[3]
- ワールドシリーズの本拠地開催権のみ、シードではなく「レギュラーシーズン通算勝率」で決まる[4]
シード番号を見るだけで、そのチームが置かれた状況や初戦の相手、日程上の有利不利が一目で理解できるようになります。シーズン最終盤の順位表を確認する際は、「確定シード」なのか「確認日時点の暫定シード」なのかに留意しながら、熾烈なシード権争いを楽しんでみてください[3]。
MLBポストシーズン全体のトーナメント構造やワールドシリーズ進出条件については、【2026年最新】メジャーリーグ(MLB)ポストシーズンの仕組み|ワールドシリーズ進出条件を解説でも詳しくまとめています。


